2018 阪神夏の古書ノ市

 鰻を食べることにしていた。その帰りどうしようかな、と思っていたら、ちょうど阪神百貨店で行われる古本市の初日(8月8日)だったので、これはちょうどよい、と出かけたのである。

◎行くまで
 鰻を食べに行く。西天満にある「日本料理 由多嘉」である。友達と話していてどうせなら良いお店で本格的な鰻を食べようじゃないか、となって決めた店だったが、本格的な外観を見て、普通のシャツで来てしまって良かったのか、スニーカーでいいのか、と不安になる。勇気を出して入り、丁寧にお座敷へ通していただき、鰻重の上をいただいた。なんとなく、そうそう鰻なんて食べられないし、友達が並を頼んでいたので見栄を張ってしまったのである。私はこういう人間なのだった。鰻重は本当に美味しく、何年ぶりかの鰻で感動し、これでもう、絶滅してもよいな(よくない)、という食べ納め気分になって古本市へ向かった。


◎阪神百貨店
 西天満から徒歩移動する。改装中らしく一階がかなり覆われており、入れない気分になる。入り口をやっと見つけて入ると、パンの催しをしており、たくさん美味しそうなパンが並んでいたが鰻を食べている私は「なるほど、パンでございますね」とだけ思い、未練もなくエスカレーターへすたすた向かったのだった。


◎阪神夏の古書ノ市
 一緒に中古CD・レコードセールや、時代もの道具市も行われており、たくさんのお年寄りやご婦人で賑わっている。最近あまり古本屋に行っていなかったせいなのか、ぐいぐい来る買いもの客の多さにも戸惑う。私は昔から競争みたいなのがやたら苦手で、テンションが引き気味になってしまった。ううむ。
 気を取り直しつつ、人が少ないところとか、隙間とかを中心に見ていく。この阪神百貨店の古書市には何回か訪れているが、写真とかアート系の本がほかの古本市より多く見られるような。そういう本はだいたい数千円するのでなかなか手がでないけれど。あと外国文学も多かったかもしれない。漫画はあまりなく、あっても少女漫画、70年代ガロ系がほとんどだった。
 なんだか、最近古本からの興味が離れているなあ。棚を見ても心が動かなくなってきた。ほしい本はだいたいプレミア価格がついているし、買った本は読みたい、という考えを持っているので、あまりたくさん買うわけにいかない、というのもある。「古本本」の多くが「買った本を読まない」人の書いたものでなんだかな、と思っていたが、「古本本」を書くくらい古本を買いつづけるにはどうもそうなるしかないのかもしれない。


 「ビリーバーズ」(BCS) 500円 全2巻セット。ラストがとても良かった。
 「ミュージックマガジン 2005年11月号」 200円 ニール・ヤング特集。ゴールドラッシュのアルバムが好きです。
 「角川映画大全集 バラエティ6月号増刊」 500円 角川映画は良いですね。
 「まるごと南野陽子BOOK」 400円 ううむ。80年代しています。
 「戦争で死ねなかったお父さんのために」 200円 新潮文庫。戯曲5編が収められていて楽しみです。


◎中古&廃盤 レコード・CDセール
 古本市から「中古&廃盤 レコード・CDセール」に移動する。同じ階の催しで、間に時代もの道具市もあるので、移動しながら、「つまづく→棚が倒れる→壺やお皿が、がしゃしゃーん」みたいな想像をしてしまってどきどきした。
 会場は広く、こちらもなかなかの賑わい。今回は洋楽を中心に見た。最近は昔のロックがブームです。


 「シャララ」 1200円 マンフレッド・マンのファースト。「My name is jack」が入っているCDもいつかほしい。
 「アワ・フェイヴァリット・ショップ」 680円 スタイル・カウンシル。格好良い。
 「ロンドン・コーリング」 780円 クラッシュの言わずと知れた名盤。スーパーマーケットの歌が好きです。


◎帰りながら
 最近あまり古本屋さんに行けていなかったが、久しぶりに買い物をするとやはり楽しかった。デパートの古本市なので冷房も効いている。最近は古本もCDもだんだん買わなくなってきている(なんかテンションが下がっている)のですが、たまには気分を盛り上げて活動すると、やっぱり発見もほしいものも見つかって、良いですね。しかし『ビリーバーズ』は面白かった。私もいつかこういう美しいラストを描いてみたいものです。


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