水道
我が家で使っていた水道を変えて、もうしばらくになる。水漏れするようになったのをきっかけに取り換えたのだ。我が家は2階に位置するが、1階の屋根裏に水が溜まったりで大変だったのである。そして新しい水道がやってきた。それまではレバーを下げると水が出ていたのだが、新しく入ったものはレバーを上げる事で水が出るようになっている。
なんでも下げて水を出すのは、上から物が落ちた時など突然水が流れる危険がある為、現在では余り使わないらしい。
そんなこんなで、我が家の水道のレバーは効果がひっくりかえった。最初の頃は、よく止めようとして逆に水をドバドバと出してしまう事が多かったものだ。レバーが逆になったせいである。レバーのせいでドバーだ。
その度、そういえば水道を変えたな、と溢れる水を見ながら思っていた。しかし近頃、そんな事もめっきり無くなった。気づけば、水を止める時にはレバーを下げるというのが日常に組み込まれていたようだ。
いつからそうなったのか覚えていない。思えば水道からも、買った時の金属光沢が消えていた。意外と年月は早く経つものである。水垢もぼんやり出ていた。当分、間違えてドバドバ流す事もない水を思うと、私は少し慣れてしまう事の切なさを感じたのである。