ジョン・レノンへ
 またジョン・レノンの命日がやってきた。またと言っても一年に一度である。あっという間の一年、私は成長できただろうか。ハワイは日本に近づいたという。その心意気を見習いたい。

 と、書いていてもわからないが、私とともにビートルズファンの高塚から今度は本当にまたの訪問があった。彼は離れていた地元(このあたり)に帰ってきていて、ひとつ話をしないか、と言い私たちは家近くのスーパーに置かれたテーブルについて話をした。

「高目、久しぶり」
「おお、ほんま」
「お前、友達とかあんまりおらんのじゃない」

 いきなりばれた、いや、推測されてしまった。なんということか。慌てて私は「ん、まあ話するくらいならおるけど百人くらい」と焦りながら、お前最近どうなん、音楽とか、と話題を変えた。

 すると、ギターの上手い人がいて、その人に教えてもらって随分上手くなった、という話を彼はし、やっぱりお前、ギターは人に教えてもらったほうがいいぞ、と言うのだった。そんなのは当り前である。お前はどうなんか、と聞かれたので、最近は全然やってない、と答え、あーでも、キーボードはやっているぞ、と片手でふにゃりと机を叩いてみたが受けないのであった。当り前である。

 そのあと、近況や共通の友人について話が出、いよいよ私だけ変なことをやっているな、と反省させられたものの黙っておいて、彼のなにかいい音楽知らん、という声に応え「INU」を紹介してみた。YOU TUBE、あ、えっと、そのあれで、見せてみたが、パンクてなんか黄色好きよな、とジャケットを見て言われたほか特にヒットしなかったらしい。無念である。

 すると、いっそのこと、お前の持っとるCDで好いの貸してくれ、ということになった。了解して二人で私の家へ戻り、いくつかCDを見繕うことにする。
 「はっぴいえんど聞くか」「聞く聞く」「おれなんかこのシリーズで揃えてたんじゃけど三枚目が出んけ、それだけ持ってない」「あー」「クラフトワークは」「テクノはいいわ」「じゃバグルスいる」「なにそれ」「あの、ラジオスターの悲劇て」「ようわからんけど聞くわ」「ツェッペリンもあった」「いるいる」とやっていると、懐かしい、初めてビートルズを聞いた廉価の編集版が出てきた。

 「これは」「それ聞いた」「おれ思うけど、これすごい選曲センスじゃない、この『ノルウェイの森』の位置とか」「おれ、ビートルズは初期が好きじゃわ、『ラヴ・ミー・ドゥ』とか『プリーズ・プリーズ・ミー』とか」「おれは中期かなあ」とやりながら、高塚に頼まれ「ラヴ・ミー・ ドゥ」をかけた。変なハーモニカの音。高塚が乗っている。私も頭を振ってみたが、やはり、変なハーモニカの音なのであった。


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