2016 天神と四天王寺の古本まつり

 天神は大阪天満宮を指し、四天王寺は大阪にある大きなお寺を指す。この二つの屋外で行われる古本まつりは有名で、去年まで他県にいた私も聞いたことがあった。今回は初の参加である。

◎行くまで
 天神から回ることにし、朝十時開始とのことで九時半ごろ到着。早速行列があり、「おーすごいな」と思ったがそれは近くの繁昌亭(寄席)の列で関係なかった。中へ入る。お店のワゴンが揃っていて、お客さんが本を眺めていた。あれ。十時からじゃないのか。見るとまだ布がかかったままのワゴンもあり、よく分からない。
 ともあれ、せっかく来たことだし先に天満宮を眺めることにした。


◎大阪天満宮
 天満宮だけあって絵馬に合格祈願がたくさんあった。私の入った繁昌亭のあるほうの入り口は天満宮の裏だったことに気づく。

 まだ十時にはなっていなかったものの、ワゴンから布がとられ人も増えはじめたので私も見出すことにした。


◎概観
 心配だった雨がなく晴天なのは良かった。暑いのはいけません。本が焼けるのが目に映るようである。「ワゴン」「ワゴンと本棚」「机にどさっと並べる」などの販売法があり、扱うジャンルも幅広い(ただ漫画はほとんど見ない。痛むからかな)。DVD、CDなどもある。朝日ジャーナルがずらっとあったのと、映画等のアート系の本が目立ったのが印象に残った。カルチャー(?)の雰囲気。文庫はどの店も充実していて、部屋のスペース問題がなければ買いたい本がいろいろあった。
 お会計は各店ごとに行う形式で、覚えておかないと何円買ったか分からなくなる。


 「新世紀エヴァンゲリオン絵コンテ集 2」 100円 気になったので。
 「清純少女歌手の研究」 200円 なにかに役立ちそう(ほんとか)。
 「孤立無援の思想」 200円 ううむ、読めるかな。
 「萩原恭次郎詩集」 200円 彌生書房。装丁が格好良い。
 「A MOVIE・大林宣彦」 450円(たぶん) このシリーズで相米慎二も出ているのか。欲しいな。
 「愛情物語」(パンフ) 200円 映画を見ないと……。
 「Wの悲劇」(パンフ) 200円 劇団のダンス練習のところの映像が好き。だいたい全部好き。
 「家族ゲーム」(パンフ) 500円 これもまた見返したい。
 「気になる視線 中森明菜」 100円 高級紙のしおり? 見本? みたいなものが挟まっている。なんだろ?
 「フィルムメーカーズ 大島渚」 3冊500円 「少年」どこかの映画館でやらないかなあ。
 「事典 映画美」 3冊500円 非常に役立ちそう。嬉しい。
 「映画の四日間」 3冊500円 これも面白そう。良い買いものだった。


◎移動
 四天王寺へ移動する。大阪天満宮駅から谷町線へ乗って十分ほど。駅で降りると高校生たちがぞくぞくと前を通っていく。女子ばかりだと思ったら、近くにある四天王寺高校は女子校だった模様。わーい。
 また裏から入ったらしかったが、なんとか会場へたどり着く。門や塔が壮大で迫力だった。


◎概観
 天神よりも広い。本はやや古めか。和本などはこちらの会場のほうが多いかもしれない。昔ながらの古本らしい本が目立った印象(変な言い回しである)。風が出てきたのか、砂埃がたまに漂っていって、本が心配になる。あと椅子に本の入った袋を置いたら砂が入ってきて呆然とした。漫画は二ワゴンほどあったが、今回はパスした。古い「ぱふ」は買えば良かったかな……。


 「死んでもいい」(パンフ) 800円 未見。おまけの半券がきれいで買ってしまった。
 「大手拓次詩集」 400円 この白凰社のシリーズを集めていて買ったが、面白い。当たりだった。
 「戯曲 赤い鳥の居る風景」 300円 状態が悪く悩むが読みたかったため購入。
 「月刊歌謡曲 1984年12月号」 500円 久々のゲッカヨ。あるところにはあるなあ。
 「石ノ森章太郎集」 500円 筑摩の現代漫画集。
 「前衛漫画傑作集」 500円 こちらも。店員さんが優しかったので買って良かったと思いました(どうなのか)。


◎帰りながら
 どちらも規模は大きいが、一日で二会場回れないこともない。実際、二つの会場をまたがって本を選んでいる方も偶然見かけた。ただ、私は疲れと鞄の重さで後半はパスした本が多くなってしまったので、そのへんは考える余地があったかもしれない。まあそういうことに思いを巡らすのも古書収集の楽しさ、健気さ、美しさであろう(ほんとか)。

 今回はあまり「これがほしい」と狙って本を見たわけではなかったが、そのぶん自分でも予想しなかった出会いがいろいろとあって楽しかった。来年も開催されればぜひ訪れたいと思います。


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