古本以外屋
 古本屋では古本以外のものも売っている。
 と書くと意外な感じがするが、ブックオフを思い出してほしい。CDやDVD、たまにゲームやカードまで売られているのを見たことがあるはずだ(なかったらその店が「ブックボブ」などでなかったかよく思い出してほしい)。

 大型店には服や楽器、玩具まであって、ときどき同じタオルなどが大量にあると引き出物か、と余計なことを考えてしまう。あと学習机を買うとおまけで付く顕微鏡もよくある。学習机は見ない。
 とにかく古本屋でいろいろなものを売っていることがお分かりいただけるだろう。

 待て。しかしそれは、ブックオフのような新古書店だけじゃないか、と疑問があるかもしれない。ああいう店はリサイクルショップみたいなもので、いわゆる「ナントカ堂書店」といった個人店には古本だけだよ、と反論があるかもしれない。

 が、実は個人店でも古本以外のものを扱っていることが多い。例えば、映画のパンフレットやポスター、サイン色紙などである。もう少し古いもので言えば、和本、掛け軸、絵巻物等を専門にした個人店もある。
 ときどき「作家だれだれの新原稿見つかる」「文豪の手紙発見」といったニュースが流れるが、あれにも古本屋が関わっていることがあるくらいで、私は少々お手上げといったところだが、こういった格好良い世界も古本屋にはあるのである。

 もちろん、CD、DVDなどを扱う個人店もある。最近ではちょっとした雑貨や、ときには喫茶店を併設して珈琲を振る舞う店も増えている。「古本屋=古い本が積み重なっているだけ」という認識は少し偏狭なものと言ってもいいだろう。その認識を少しでも改めてもらえれば、そしてあわよくば家の近くの古本屋を検索し、古本ファンになってもらい、ついでにアクセス数も増やしてもらえれば、というのが私の小さな願いである。難しければ、アクセス数だけ増やしてもらえれば幸――ではないか。

 古本屋に行けば、古本との出会いがある。しかし今回書いてきたように、古本以外との出会いもある。なにより人との出会いだってある。ものと人を同じに扱うのは少しまあ変な話だが、古本屋にはたくさんの出会いがある、というのは本当のことだろう。


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